はじめに
一般的にサービスの良い面は語られがちですが、残念な面について語られることは少ないですよね。
そこで本記事ではMicrosoft 365の利用を検討している方々に向けて、Microsoft 365 Copilotの残念な点をあえて挙げることでMicrosoft 365を使用するかどうかの一つの判断材料としていただくことを目的としています。
Microsoft 365 Copilotについて
CopilotがMicrosoftのAIチャットボットと知っている方は多いと思いますが、名前が似ていて具体的にどれがどれなのかわからない! という方も多いと思います。
そこで前提知識としてまずはそれぞれのCopilotについて以下に整理していきます1。
なお、GitHub CopilotやSales Copilotなどの特定分野毎のCopilotは本記事では扱いません。
名前 | 対象 | 料金 | Office連携 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
Microsoft Copilot | 個人向け | 無料 | × | ・個人向けの一般的なAIチャットボット |
Microsoft Copilot Pro | 個人向け | 月3200円 | 〇 | ・Microsoft Copilotの上位版 ・Office連携可 |
Microsoft 365 Copilot Chat | 企業向け | 月数千円 | × | ・企業向けの一般的なAIチャットボット ・企業向けMicrosoft 365ライセンスに同梱 (月数千円) |
Microsoft 365 Copilot | 企業向け | 月数千円 + 月4497円 |
〇 | ・Microsoft 365 Copilot Chatの上位版 ・Office連携可 ・企業向けMicrosoft 365ライセンス + Microsoft 365 Copilotライセンスが必要 (月数千円 + 月4497円) |
企業がCopilotを使用する場合、Microsoft 365ライセンスのみを契約して上記の表のMicrosoft 365 Copilot Chatのみを使用するケースがほとんどだと思います。
そのため本記事ではMicrosoft 365 Copilot Chatを対象として説明していきます。
ちなみにMicrosoft CopilotとMicrosoft 365 Copilot Chatは個人向け・企業向けの下位版ということで立ち位置が似ていますが、この2つは UI / 機能 / LLMのモデル / チューニング など全くの別物です。
そのため企業としてAI選定で実際にCopilotを使用して評価する場合はMicrosoft Copilotではなく必ずMicrosoft 365 Copilot Chatを使用してください。
それでは各プランの説明はここまでにしてMicrosoft 365 Copilot Chatの残念な点を以下挙げていきます(名称が長いので以下M365 Copilotと呼びます)。
推論モードを使用できない
ChatGPT, DeepSeek, Geminiなど最近のAIは無料プランでも推論モードに対応しているものが珍しくないですよね。
個人向けのMicrosoft Copilotでも無料で推論モードを使用することができます。
しかし、M365 Copilotでは推論モードを使用することができません。
下位版とはいえ有料のAIなんだけどなぁ…と思わざるを得ないです。
ChatGPTより回答の質が劣る
MicrosoftによるとM365 Copilotは内部でGPT-4oを使用しているらしいです。
しかし、M365 Copilotを実際に使用してみると本家ChatGPTのGPT-4oと比べて明らかに回答の質が劣る印象を受けます。
M365 CopilotはむしろGPT-4o miniに近い回答をする印象です。
ただM365 Copilotで何のモデルを使っているにしても無料版のChatGPTの方が優秀な回答をしてくれるため、有料のAIなんだけどなぁ…と(略
音声会話を使用できない
AIとの音声会話便利ですよね。
私はプライベートでAIを使用する時は音声会話をよく使用します。
オフィスだと周りに人がいるためテレワーク時だけですが、仕事でも簡単な調べ物はAIの音声会話でよく行います。
この機能も無料で使用できるAIは結構増えてきましたね。
特に個人向けのMicrosoft Copilotは無料でも1日1時間くらい音声会話可能です。
しかしこれもM365 Copilotでは音声会話することができません。
有料の(略
Deep Researchを使用できない
推論モードと同じように無料のAIでもDeep Researchに対応しているものは増えていますよね。
そしてやはりと言うべきかM365 CopilotではDeep Researchを使用することができません。
有(略
Office連携できない
冒頭の表を確認していただくとわかるように、個人向け・企業向けともに下位版のCopilotはOffice連携に対応していません。
Wordだけ連携可とかOutlookだけ連携可とか一部Officeアプリだけ連携可とかではなく一切連携できません。
M365 CopilotはMicrosoftのAIのはずですが…企業向けAIのはずですが…Office連携できないんです…。
Web検索をOFFにできない
Web検索機能のついているAIでWeb検索をOFFにすることありませんか?
回答の質を上げるためのWeb検索のはずが、むしろ検索結果に影響されたせいで上手く回答してくれないこと結構ありますよね。
こういった場合はWeb検索をOFFにしてあらためて質問すればいいのですが、M365 CopilotではWeb検索をOFFにすることはできません。
Web検索がONのままプロンプトを変えて試行錯誤するか、諦めるかのどちらかです。
試行錯誤すると逆に時間がかかって本末転倒になることが多いので自分は諦めるパターンが多いですね。
この点は普段使っている時には意識しないのですが、実際に発生するとイラっとします。
※上位版のMicrosoft 365 CopilotではWeb検索をOFFにすることができます(この機能差別化するんだ…)
画像アップロードできなかった(過去形)
M365 Copilotは2024年10月頃にUIがリニューアルされました。
そしてなんとそのリニューアルで画像アップロード機能が削除されたんです。
よほど不評だったのか(?)今年の3月か4月頃に復活しましたが、2025年のAIで画像アップロードすらできないのはちょっと衝撃ですよね。
何度も繰り返しますが有料のAIです。
その他新機能
NotebookLMのような機能なども4月に発表されましたが、こういった新機能は基本的に上位版のMicrosoft 365 Copilotでしか使用できません。
個人向けのMicrosoft Copilotでも色々な新機能が発表されますが、冒頭で説明したように個人向けのCopilotと企業向けのCopilotは別物なのでもちろんM365 Copilotでは使用できません。
あなたの結論は?
Microsoft 365使う?使わない?
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個人向けMicrosoft 365のライセンスでもOffice操作可能なCopilotを使用できますが、回数制限が非常に厳しく実質的に体験版程度の扱いなので省略します。 ↩