52
42

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

はじめに

突然ですが、皆さんのチームではこんな課題はありませんか?

  • 「あの資料どこだっけ?たしかGoogle Driveに…いやSlackで誰かが…?」
  • 仕様や議事録がいろんな場所に散らばっていて、最新情報がわからない
  • ドキュメントを残す文化がなく、有識者の退職でナレッジが失われる
  • せっかく作ったドキュメントも更新されず、いつの間にか"化石"になっている

私たちの開発チームも同じようにこのような「情報のサイロ化」と「ナレッジマネジメント文化の未成熟」という深刻な課題を抱えていました。

この記事では、そんなカオスな状態から脱却するために、Notionを導入して社内のナレッジマネジメント基盤を再構築した取り組みについてご紹介します。

本記事が、同じような課題を抱える開発者やチームの皆さんにとって、少しでも参考になれば幸いです。

1. Notion導入の背景:私たちが直面していた課題

Notion導入を検討し始めた当時、私たちのチームは主に2つの大きな壁にぶつかっていました。

課題①:情報の散在と分断(情報のサイロ化)

開発に必要な情報や過去のナレッジが、様々なツールに点在している状態でした。

  • 📄 ドキュメント: Google Drive,Slack
  • 💬 議論のログ: Google Drive,Slack
  • 🧠 その他: 個人のPC、有識者の記憶の中...

これにより、以下のような問題が日常的に発生していました。

  • 著しく低い検索性と発見性:
    • 必要な情報がどこにあるのか分からず、探すだけで多大な時間が溶けていく。
    • 情報がツールごとに分断され、横断的な検索ができない。

課題②:ナレッジマネジメント文化の未成熟

「ドキュメントはちゃんと残そう」という意識はあっても、それを支える文化や仕組みが未熟でした。

  • 曖昧な運用ルール:
    • ドキュメントを残す文化が定着しておらず、「いつ・誰が・何を・どこに」書くかのルールが曖昧。
  • ドキュメントの非標準化:
    • フォーマットや記載粒度が人によってバラバラで、読む側・書く側双方に負担がかかる。
  • ナレッジの陳腐化:
    • 一度作成されたナレッジが誰にもメンテナンスされず、情報が古くなって放置される。

これらの課題が積み重なり、チーム全体の生産性を著しく低下させていることは明らかでした。

2. Notion導入で目指した理想の姿(目的)

これらの根深い課題を解決するため、私たちは
「組織のナレッジをNotionに集約し、効果的に蓄積・活用できる状態」
を目指すことにしました。

具体的な目的は以下の3つです。

  1. 情報の一元化による業務効率と生産性の向上

    • 散らばった情報をNotionに集約する。
    • 探す時間をなくし、本来の創造的な業務に集中できる環境を作る。
  2. ナレッジ活用を通じた積極的な情報共有文化の醸成

    • ドキュメント作成のハードルを下げ、「とりあえずNotionに書いて共有する」という文化を根付かせる。
    • エンジニア一人ひとりが持つ知識や経験を、チームの資産として活用できるようにする。
  3. 属人化の解消と開かれた組織への変革

    • ナレッジをオープンにすることで、特定の個人に依存しない開発体制を構築する。

3. Notionが僕たちの課題にハマった点

では、Notionのどの機能が、課題解決に繋がったのか解説します。

課題:情報の散在と分断 → 解決策:データベースによる情報の一元化

散在していた情報の集約は、Notionのデータベース(DB)機能が役に立ちました。

  • オンボーディング資料、仕様書、不具合調査資料など、これまで別々のツールで管理していた情報を種類ごとにDBとしてNotion上に構築。
  • DBのリレーション機能を使用し、例えば「このプロジェクトに関連する仕様書と障害報告書」を関連付け。
  • 開発部全体、チームごとといった分かりやすいディレクトリ構造を設計し、誰もが必要な情報へ迅速にアクセスできる環境の作成。

これにより、情報の検索性が劇的に向上し、情報のサイロ化が解消されると期待しました。

課題:ナレッジマネジメント文化の未成熟 → 解決策:テンプレートとルールの整備

ドキュメント作成の文化を根付かせるために、Notionのテンプレート機能が最適でした。

  • 「不具合/障害 調査」「手順書」など、用途に応じたテンプレートを事前に複数用意。
  • ボタン一つで誰でも標準化されたフォーマットのドキュメントを作成できるため、「何を書けばいいか分からない」という心理的ハードルを下げ、ドキュメント作成の工数を削減できます。
  • また、Notion導入を機に、ページの命名規則や作成方法のルールを明文化し、Notionのトップページに掲示することで、運用ルールを定義しました。

4. 具体的な構築方法

ここからは、実際に私たちがどのようにNotionでナレッジ基盤を構築していったのか、その具体的な方法について解説します。

①ナレッジの対象を決定する

まず、「何をNotionに集約すべきか」を定義することから始めました。闇雲に情報を移行しても形骸化するだけだと考えたからです。

PJチームで議論を行い、現状のドキュメントや情報の種類を洗い出しました。その上でルールを決めて管理するナレッジの対象を定義しました

対象とするナレッジ: 仕様書、設計書、障害調査報告書、オンボーディング資料、など

対象としないもの: 議事録 (※)、個人のタスクリスト、一時的なメモ、Slackでの雑談ログなど

※議事録はフロー情報としての側面が強く、陳腐化するリスクがあるため、今回は対象外としました。

このスコープ定義が、後のデータベース設計や運用ルール策定の重要な土台となりました。

②DBの構築を行う。

次に、決定したナレッジを格納するための「棚」となるデータベースを構築しました。ポイントは、情報の種類ごとにデータベースを分け、それらをリレーションで関連付けることです。

構築した主なデータベース:
📄 ドキュメントDB: 仕様書や設計書など、全てのドキュメントを格納するマスターデータベース。

⚙️ プロジェクト管理DB: 進行中のプロジェクト情報を管理。

これらのDBをリレーション機能で相互にリンクさせました。例えば、あるプロジェクトのページを見れば、そのプロジェクトに関連する「ドキュメント」が自動で一覧表示されるように設計しました。これにより、情報が分断されることなく、文脈で捉えられるようになりました。

NotionでDBを作成する際にはDB_データベース名という命名規則での作成を行いました。 こうすることで検索を行った時にページかDBかの区別をしやすくなります。

③テンプレートの作成を行う。

ドキュメント作成のハードルを下げ、品質を標準化するためにテンプレート機能を積極的に活用しました。
作成したテンプレート:「障害調査報告書」「仕様書」など、利用頻度の高いドキュメントの雛形を作成。
例えば「障害調査報告書」テンプレートには、『発生日時』『原因調査』『暫定対応』『恒久対応』といった必須項目をあらかじめ用意しました。
これにより、誰でもボタン一つで質の高いドキュメント作成を開始でき、「何を書けばいいか分からない」という悩みから解放されます。

④運用ルールの明文化と周知を行う

最後に、全員が迷わず使えるように、運用ルールを定めて明文化しました。
各データベースについての説明や、実際の使用手順を記載しました。

ルールの周知: これらのルールはNotionのチームトップページに掲示し、はじめに開発部全体への説明会を行うことにより導入をサポートしました。

5. 導入後の効果

「Notion見ればわかる」が共通認識に: これまで口頭や記憶に頼っていた情報がNotionに集約され、「まずはNotionを探す」という動線を作ることができました。情報の信頼性が向上したと感じています。

属人性の高い知識の形式知化: 特定のメンバーしか知らなかった障害対応のノウハウなどがドキュメント化され、チーム全体の技術レベルの底上げに繋がっています。

おわりに

今回は、Notionを活用して社内のナレッジマネジメント基盤を構築した話をご紹介しました。
情報の散在や属人化は、多くの組織が抱える共通の悩みだと思います。私たちの試行錯誤が、皆さんのチームの課題解決のヒントになれば嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

52
42
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
52
42

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?