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 弁才天には、如来や菩薩の多くが童子に変身して弁才天の功徳に協力してくれているのですから、人々の
欲望や願いに対しては万能の仏神ということができます。この十六童子をそろえて弁才天の功徳の範囲を拡
めたのは『弁天五部経』が作られてからで、中世からの弁才天信仰に一層拍車をかけています。
 このほかに神道の神が脇侍したり、稲荷神や荼吉尼天が付き従ったり、さらに大黒天と毘沙門天が脇侍す
ることがあります。



 日本における弁才天は、始めは妙音弁才天として伝来したのですが、日本の産土神である稲荷神と結び付
いて宇賀弁才天となり、多くの信仰を獲得し、弁才天としては宇賀弁才天の方が多いようです。

 また、稲荷神については御神体に諸
説がありますが、その中でも穀霊であ
る「宇賀(迦)御魂神」(うかのみた
まのかみ)「倉稲魂神」(さてとうこ
んしん)を稲荷神として、これに弁才
天が習合して宇賀弁才天となる日本独
特の弁才天が生じたようです。
 宇賀御魂命(うかのみたまのみこと
)は保食(うけもち)の女神と同体も
しくは夫婦神とされ、日本で作られた
伝説では人頭蛇身の神で蛇だとされて
、蛇は土地や水に縁があり豊穣を願う
神ですから、弁才天も蛇や水に縁があ
る豊穣につながる福の神であります。

 また、宇賀御魂神の「ウガ」は梵語
のウガヤと似ており、ウガヤは白蛇を
意味することから、弁才天が蛇に縁が
あるのと共通しており、弁才天を龍女
とみる説からも、蛇で表現される宇賀
御魂神に当てはめられたようです。
そして、その功徳は五穀豊穣ばかりで
なく、如意宝珠の力によって願うこと
はことごとく 叶い、福を得ることと
なり、あわせて弁才天本来の能力であ
る音楽・学問・叡智・までの力を授け
て下さるといいます。世の中のすべて
の願いを叶えてくださる万能の福神と
して広く信仰されています。




 毘沙門天は「如来の道場を護りて法を聞く」故に多聞天とも言われます。
 また、胎蔵曼荼羅外金剛部院の北方の門に位置するので北方の神とし、北方鎮護の仏神
とされています。
 このように北方の門の警備の任を負わせられていましたので、甲冑姿で武器を執る像と
して表現され、三叉戟か宝棒(金剛棒)を持ち、片手には仏舎利塔(仏法護持の意味です
が、後に無限の宝の出る宝塔というように解釈された)を捧げ持つことから福の神とされ
てきました。
 また、毘沙門天が鬼を踏まえているのは夜叉羅刹を支配していると言う意味で、夜叉は
夜叉鬼であります。
 そして、毘沙門天は、可畏・天敬・衆帰の三つの城を持つて居ると言われていますが、
これらはすべて宝石で飾られ荘厳極りなく、多くの宝や財物を所有しているとされ、また
左手には無量(はかり知れない)の宝を出すと言われる宝塔を持ち、右手には宝を出す宝
棒(宝杵・金剛棒)をも持たれていることから、つまり財宝づくめである福の神とされた
のであります。
 弁才天の脇侍として大黒天とともに加えられたのも、戦闘神的見方から加えられたのではなく、福の神とし
てさらに強力な福の力を示すような願いからあり、七福神中の最たる位置を有しています。



 毘沙門天は「如来の道場を護りて法を聞く」故に多聞天とも言われ、胎蔵曼荼羅外金剛
 大黒天は、インドの神であって梵名は、マハーカーラ、と呼ばれ、大自在天の化身とい
われています。
 大自在天はインドの、三大主神の一神であるシヴァで、仏教に取り入れられて、大自在
天、と言う守護神になりました。シヴァは凶暴な神で破壊を主としますが破壊の後の建設
再生をも司りますので、再生至福・施薬の神として厚く信仰され、これに対して大黒天は
、マハー・カーラ・デーヴァと呼ばれる暗い神で夜の神であります。 それが仏教に採り
入れられてからは、植物の世界における生命原理の擬神化としてとらえられ、共同体で修
行し苦行する仏教信者に植物の食物を供給する神としてみられるようになりました。食物
つまり穀類、そして米を詰めた俵に乗る後の日本における大黒天の像容はここから発して
いるようです。
 インドの寺院の厨房の柱には、このマハー・カーラ・デーヴァが必ず祀られています。日本に大黒天信仰が
伝わって、寺院の厨房や一般の家の台所に祀られたのは、これに由縁します。
 大黒天信仰は中国にも伝わり、暗黒の神であるところから大黒と訳され、寺院の厨房の柱に祀られました。
食料を司り守る神とされ、福の神的性格が現れてきますと、さらに「性愛三宝護持」の神とされ、性愛によっ
て増殖至福を司り、三宝すなわち佛法僧を護持する善神と見られるようになってきました。
 日本では、大黒の音が、日本神話に出てくる大国主命の音読みに共通しますので、本地垂迩説による習合に
よって、大国主命と同一視され、したがって日本における大黒天像は、日本的頭巾に狩衣姿で表現され、大き
な宝の袋を左の肩に担い、右手に何でも願いの叶う打ち出の小槌を持たれた姿が定着しています。
そして、密教では、毘慮遮郡仏の化身として降魔の神ともされ、また自在の神通力を持ち人の(いのち)の終
わる時を六ヶ月前に知りその肝を食らうと言われる、荼吉尼天を降伏させる仏神と言われており、延命長寿を
かなえてくれる神とされています。