最新のAI駆動開発ツール「Kiro」を徹底解説!!
はじめまして、ますみです!
株式会社Galirage(ガリレージ)という「生成AIに特化して、システム開発・アドバイザリー支援・研修支援をしているIT企業」で、代表をしております^^
この記事では、2025年7月15日に発表された、最新のAI駆動開発ツール「Kiro」について解説します!
AI駆動開発ツール(AIネイティブ開発ツール)について、まだ詳しくない方は、下記の記事をご覧ください^^
Kiroとは?
Kiroとは、AWSが開発したGitHub CopilotやCursorのような「生成AIを用いたAI駆動開発ツール」です。
AI駆動開発ツールの中で言うと、生成AIによるAIコードエディターです。
現在は、まだPreview版なため、動作が不安定(よく「An unexpected error occurred, please retry.
」というエラーが出てくる)ですが、その代わり今なら無料で利用できます!
Kiroの特徴
Kiroの持つ一番の特徴は、「Spec」というモードがあることです。
Specでは、次の3つのプロセスを経て、システムを開発していきます。
- Requirements:要件定義
- Design:設計
- Task list:タスク整理
公式サイトでは、「Spec-driven Development(仕様駆動開発)」によるAIコーディングと打ち出しています。
ただ、要件定義では、以下のように「ユーザーストーリー」や「WHEN-THEN」のフォーマットで受け入れ条件が記述されているため、どちらかというと「Behavior-driven Development(振る舞い駆動開発 / ビヘイビア駆動開発)」という開発プロセスの方が近い発想かなという感じですね。
### Requirement 1
**User Story:** As a user, I want to add new tasks to my TODO list, so that I can keep track of things I need to do.
#### Acceptance Criteria
1. WHEN the user enters a task description and submits it THEN the system SHALL add the task to the TODO list
2. WHEN the user submits an empty task description THEN the system SHALL display an error message and not add the task
3. WHEN a task is successfully added THEN the system SHALL clear the input field and display the new task in the list
下記のように、ユーザー目線でのシナリオ(仕様)を整理した上で、このドキュメントに沿って、設計・開発が進みます。
また、もう一つのマイナーな違いとして、「タスクキュー機能」があります。
AIエージェントの種別として、協調型や自己駆動型など様々なものがありますが、その中における1つのポイントは「非同期で処理をするかどうか」です。
Kiroでは、同期処理をする必要がある工程において、以下のようにタスクをキューイングできます。
Kiroのインストール方法
Kiroは、以下のサイトからダウンロードできます👇
そして、なんとも可愛いアイコンですね 😊
Kiroのセットアップ方法
インストールが完了したら、以下の画像の通り、セットアップをしていきます。
今回は、GitHubでログインしていきます。
VS Codeのプラグインもインポートできます。
テーマも選べます。
どうたら、code
やcursor
のように、コマンドでエディターを開くことができます。
無事、パスが通りましたね!
最後に、プロジェクトを開きます。
以下の画面までたどり着いたら、セットアップは完了です!
KiroによるAI駆動開発のデモンストレーション
Kiroには、「Vibe」と「Spec」の二つの始め方があります。
- Vibe:チャットによって、ノリで開発を始めるスタイル
- Spec:要件や設計をしっかり固めてから開発を始めるスタイル
それぞれ以下のような特徴があります。
項目 | Vibe | Spec |
---|---|---|
概要 | チャットによって、ノリで開発を始めるスタイル | 要件や設計をしっかり固めてから開発を始めるスタイル |
オススメのシナリオ | ・素早くアイデアを試したいとき ・要件がまだはっきりしていないとき ・特定のタスクを実装したいとき |
・機能をじっくり深く考えたいとき ・事前にしっかり計画が必要なプロジェクト ・構造的に機能を作りたいとき |
「Vibe」のデモンストレーション
ここでは、以下のようなプロンプトでTODOリストを作成してみます。
最低限の機能を持ったTODOリスト。
まずは、Vibeを選択します。
そして、プロンプトを入力します。
すると、GitHub CopilotやCursorのように、コードを生成してくれます!
では、実際に実行するように指示してみましょう!
すると、コマンドが表示されます。
実行すると以下のようにアプリケーションが開きます。
一通りのテストをしたところ、全てうまく動作しました!
以下のようなプロンプトで、追加の機能実装をしてみましょう。
削除したタスクを確認できるようにしたいです。削除したタスクのリストは、アコーディオンの中に入れたいです。
ちなみに、こんな感じで、Followを押すと、変更箇所を見に行けます。
無事、実装できたようですね。
画面で確認していきましょう。
いずれも想定通りの挙動をしていました!
「Spec」のデモンストレーション
次に、冒頭で解説したSpecについて、試してみましょう!
新しいチャットを開き、Specを選択します。
(Vibeで作ったコードは削除しています。)
同じようなプロンプトで実行します。
すると、まずrequirementsが生成されます。
試しに、要件を追加してみましょう。
過去に完了したタスクを日付ごとに確認したいです。
しっかりと更新されましたね!
次に、Move to design phase
を押して、設計を始めましょう。
比較的、詳細な設計まで生成されました。
次に、Move to implementation phase
を押して、実装を始めましょう。
すると、タスクリストが表示されます!
ここからついに実装です!
Task in progress
を押して、実装を始めましょう!
実装が完了すると、以下のようにチェックがつきます。
具体的なAIエージェントの挙動が下記の通りです。
- タスクリストの確認
-
index.html
の生成 -
index.html
の確認 - タスクリストのステータス更新
- 完了報告
「Hook」のデモンストレーション
Hookとは、「特定のタイミング(もしくは条件)」で自動的に何らかの処理(コマンドやスクリプトなど)を実行するための仕組みです。
たとえば、ファイルが変更されたら、自動的にドキュメントを更新することもできます(この設定をすると、API料金が肥大化するため、推奨はしません)。
それでは、実際にHookを試してみましょう!
以下のように、「Agent Hooks」というタブの右側の「+」ボタンを押して、新しいHookを作成します。
今回は、「チャットの履歴をログとして、log.mdに保存する」というHookを作成します。
プロンプトが入力し終わったら、実行をクリックします。
すると、次のようにHookが作成されました!
自然言語で作成できるのは本当に便利ですね。
ちなみに、Hookのソースコードは、下記のようなjsonファイルになります。
そして、実際にタスクリストの中のタスクを実行すると、後続タスクとして、Hookのタスクがキューイングされていることがわかります。
Hookのタスクが完了すると、下記のようにlog.md
が更新されていることがわかります。
「Steering」のデモンストレーション
Steeringとは、「プロジェクトや開発手法等のルールや方針をAIに教え込むための設定・ガイドライン」です。
Cursor RuleやCopilot Instructionsのような機能です。
それでは、実際にSteeringを試してみましょう!
まずは、左側のAgent Steeringを開き、Generate Steering Docs
ボタンをクリックします。
すると、Generate Steering Rules
というプロンプトが実行されて、Kiroにて生成が始まります。
最終的に、下記のように、.kiro/steering/project-standards.md
というファイルが作成されていることがわかります。
著者の一言コメント
やはりもっとも大事なことは「高品質な開発プロセス」をAI駆動開発のプロセスに落とし込むかだと思いました。
また、設計のタイミングで、ドメイン整理やレイヤー設計を緻密にデザインすることも重要です。
そのため、KiroはまだPreview版ではありますが、それらを落とし込まれている点で非常に有用なツールだと考えられます。
最後に
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
この記事を通して、少しでもあなたの学びに役立てば幸いです!
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