河川敷
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河川敷(かせんしき[1]、かせんじき[2])もしくは河道(かどう)とは、常時水が流れている区域(低水敷)と増水時に冠水する平坦な土地(高水敷)を合わせた区域をいう。
この河道に堤防敷を加えて河川敷という場合もある。
河川区域
[編集]河川法第6条第1項では以下3つの区域が「河川区域」として定められている。
- 河川の流水が継続して存する土地及び地形、草木の生茂の状況その他その状況が河川の流水が継続して存する土地に類する状況を呈している土地(河岸の土地を含み、洪水その他異常な天然現象により一時的に当該状況を呈している土地を除く。)の区域 - 一号地。低水敷やダム湖で貯水されている標高水位までの範囲など。
- 河川管理施設[3]の敷地である土地の区域 - 二号地。堤防やダムのダムサイトなど
- 堤外の土地(政令で定めるこれに類する土地及び政令で定める遊水地を含む。)の区域のうち、第一号(上記の1)に掲げる区域と一体として管理を行う必要があるものとして、河川管理者が指定した区域 - 三号地。高水敷など[4][5]
なお、普通河川の河川区域について(普通河川区域)は、当該の普通河川条例などで定められている。
類似の用語には「河川敷地」(かせんしきち)がある。河川敷地占用許可準則[6]において、河川敷地とは、河川法上の河川区域内の土地で、河川管理者[7]以外がその権限に基づき管理する土地を除くものであるとしている。
高水敷の土地利用
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土地利用に当たっては、河川法第24条に基づく河川管理者(国もしくは地方自治体)の許可が必要となる。主に、公共的な用としてスポーツ施設や運動場、公園や遊歩道として利用されることが多い。私有化されている土地もあり、一部では農業も行われるが、長年の既得権として許可が与えられているものがほとんどである[8]。
占拠
[編集]- しばしばホームレスが簡易な居住施設を造るが、占拠を黙認すると居住権が発生すること、出水時に人的被害が出る恐れがあることから強制的な排除が行われる[9]。令和元年東日本台風(台風19号)の例では、ビラや防災無線で避難の呼びかけが行われたが溺死者も出た[10]。
- 近隣の住民が造る無許可の家庭菜園が、しばしば本格的な耕作地化することもある。これらも河川管理者の撤去勧告が行われ、従わない場合は行政代執行による排除が行われることになる[8]。
- 2016年の千葉県におけるデータによれば、県内で河川敷が不法に占有され、畑や小屋、桟橋などが作られるケースが377件に及んだという[11]。
- 大阪府内の淀川では、野球やサッカーなどのチームが、国土交通省淀川河川事務所に無断で河川敷にバックネットやベンチなどを設置し、グラウンドとして長年に亘り使用していた。河川法に違反するため、同事務所は再三に亘り撤去を要請してきたが、チーム関係者の抵抗で進んでいなかった。しかし2019年以降に豪雨災害が相次いだ影響もあって、これらのチームのうち計33チームが、2021年3月までにバックネットなどを撤去する方針であることが明らかになった[12]。
脚注
[編集]- ^ 河川敷(カセンシキ)とは - コトバンク
- ^ NHK放送文化研究所・「河川敷」の読み方は?
- ^ ダム、堰、水門、堤防、護岸、床止め、樹林帯(堤防又はダム貯水池に沿つて設置された国土交通省令で定める帯状の樹林で堤防又はダム貯水池の治水上又は利水上の機能を維持し、又は増進する効用を有するものをいう。)その他河川の流水によつて生ずる公利を増進し、又は公害を除却し、若しくは軽減する効用を有する施設(河川法第3条第2項)
- ^ 高水敷、堤外の土地の他には、河川整備基本方針で定められている遊水地、堤防に隣接して堤防と同一の働きをしている土地(例えば堤防に接している丘陵地や台地などの河岸部分など)、またそうした土地や堤防の対岸にある土地のうちで堤防と同一の働きをしている土地(2号類地とよばれる)、前述の土地と1号地の間にある土地無堤部の高水敷に類する土地といった堤内の土地も、三号地に指定されている場合がある。堀込型の河川などでみられる。
- ^ ダム湖の場合は、ダムによって貯留される流水の最高の水位、サーチャージ水位の際の水面で土地に接する線によって囲まれる地域内の土地。河川法施行令第1条第1項第3号で定められている。なお、ダム湖を周回するよう設けられた道路の道路区域と、前述の件で定められた土地との間に生じた余剰残地も、ダムによっては三号地に指定されている場合がある。
- ^ 平成11年8月5日建設省河政発第67号建設事務次官通達
- ^ 河川法に基づき、洪水や高潮などの災害を防止し、公共の安全を確保するために、河川の管理について権限と義務を負う者
- ^ a b “河川敷の野菜畑は誰のもの?”. 2016年11月23日閲覧。
- ^ “国有地を60年間も不法占拠…”立ち退き危機”の京都の集落を直撃した”. デイリーニュースオンライン. (2016年4月21日)
- ^ “多摩川のホームレス 都内唯一の死者に 救えなかったか”. 毎日新聞 (2019年10月19日). 2019年10月19日閲覧。
- ^ 畑だけでなく釣り桟橋まで…千葉・花見川の河川敷不法占有 「増えた中国人」県が放置で歯止めなく産経ニュース・産経新聞(2017年1月29日)2017年2月12日閲覧
- ^ 淀川河川敷の違法グラウンド撤去へ 長年の「無法状態」動かしたきっかけとは 毎日新聞 2020年12月18日